めまいの正体(メニエール病)

投稿日:2024年2月15日 更新日:2024年2月15日

 

参照:めまいの正体

メニエール病の歴史
・メニエール病を発見したフランスの内科医、当時は、めまいは脳の病気と考えられていたが、白血病の症状の治療中、めまいを起こし死亡。 解剖したところ、内耳に出血が見られた。 このことから、めまいは脳の病気ではなく、内耳の以上によって起こるものとしました。(1861年) 
・1938年、大阪大学の山川強志郎教授とイギリスのホールパイク博士が同時に次のことを報告。 めまい発作を繰り替えし、難聴も伴っていた人の死亡後の解剖では、内耳を調べたところで、内リンパ水腫があったということ。 現在では、メニエール病の正体は、内リンパ水腫(蝸牛の中央階の内リンパ液が増えるためライスネル膜が前庭階側に膨隆する状態)と考えられるようになった。 

メニエール病は増えている
・なぜ内リンパ水腫が起きるのか? いまだにわかっていません。 水分、塩分代謝障害説・ストレス説・自律神経障害説・アレルギー説・ウイルス説・自己免疫説・内リンパ嚢機能不全説‥等、このうちに私が注目しているのは、ストレス説。 最近の研究で、毛中のバゾプレシンというホルモンがメニエール病の患者で高値を示すことがわかってきました。 発症ピークは、女性が30代で、男性は40代です。人口10万人で17~36人となっています。 

 発症間もない時は、めまいが治まって、難聴なども消失していることも多く、診察時に、異常がなければ、異常を確認するまでは「メニエール病の疑い」というしかないです。 

 メニエール病の患者にとって、発症時はめまい発作が最大の関心事で、次のめまいがいつ起こるかと絶えず不安に思っています。 難聴は、初期には軽く、めまいが治まると改善する例も多いので、めまいに比べて、難聴の方はさほど気にならないのだと思います。 めまい発作が起きてから、2~3年たつと、難聴は回復しにくくなります。 めまいを繰り返している人は、発症から時間が経つにつれて、難聴が徐々に、あるいは、急に進行します。 こうなると聴力は元に戻りにくくなります。 難聴がある程度進行すると、逆にめまいは軽くなり、次第に怒らなくなります。 こうなって初めて耳鳴り、難聴を意識する患者が多いようです。 片方の難聴が進むと、約3割で反対側にも難聴が起こる可能性があります。 難聴が進行しないようにするのは、なかなか難しく、早期に聴力が元に戻り、めまいも起こさないようにするには、薬物療法に加えて、ライフスタイルを修正するしかないと思います。 

自然経過と予後
・何もしないとメニエール病はどうなるのでしょうか? どうしても何も治療をしない経過を研究することは日本ではできず、報告がありません。 外国では、無治療、薬物療法のみで5年以上観察した報告があり、多くの患者はやはり、聴力障害がひどくなっています。 しかし少数ながら、無治療で、聴力が元に戻って、悪化しなかった例もあります。 その一方で、薬物療法や手術を受けても、聴力は次第に悪くなっていくのが普通です。 つまり治療しなくても改善する例もあれば、治療しても悪化する例もあるわけです。 難聴がかなり進行すると、三半規管の機能も低下して、めまいは軽くなるか起きなくなることもあります。 しかしこの時点までくると、後遺症として難聴が残ってしまいます。 最終段階では、メニエール病では、難聴を残して終わるもの多いです。

 ストレスから起きていると考えている、グループでは、メニエール病の手術と言われた人たちも、手術する前に、「心理治療」受けて、手術しないで済んだケースがたくさんあります。 

心理療法
心理検査からメニエール病の治りにくい人の60~70%が心身症、20%が神経症、いわゆる、ノイローゼ。また60%が不安傾向が見られます。 メニエール病の患者は責任感が強く、強迫、不安傾向を示す人が多い。 臨床心理士は、めまい発作の経過を問診し、心因を探します。 めまいを引き起こすストレスは、大きな出来事よりも、日常の些細なことの中に潜んでいることが多く、専門家による、注意深い問診が必要です。 これらの心理療法と、精神安定剤、抗うつ剤、睡眠薬等を用いることで、6ヶ月や、1年で、めまい発作が少なくなり、聴力の変動もしなくなります。 しかし、別のストレスに出会うと、再発する人もいます。 

メニエール病のセルフコントロール
メニエール病の職業では、知的職業、商社マン、営業マン、教師、学者などが多い。 めまい発作の誘因は、女性は、両親の介護、夫婦関係、嫁姑関係、子どもの非行、登校拒否、会社での人間関係。男性では、対人関係、不景気のリストラ、国外出張、海外旅行、家族関係の悪化。

めまい発作の前兆を知ること
人によって異なりますが、めまいの前兆として、耳鳴り、耳閉塞感、ふらつき感、肩こり、頭痛、特に、後頭部痛などがあります。 これらは、風邪のなどによる体調不良などにも多く見られます。  ○