投稿日:2020年12月10日 更新日:2024年1月30日


前方法から後方法へー頚椎椎間板ヘルニアに対する手術的治療ー
参照:前方法から後方法へー頚椎椎間板ヘルニアに対する手術的治療ー
〇頚椎ヘルニアに対する手術法は1960年代までは後方法からが一般的だった。
しかし、ヘルニアの摘出が困難という問題点があり、1960年からは前方法が普及した。
1980年からは手術用の顕微鏡も導入され、後方法の可能性も再検討されている。
この研究の目的は、手術方法と手術成績を検討することである。
〇1980年代では前方法75%と後方法が25%、2000年代には前方法9%、後方法91%と、最近では、後方法が一般的に普及している。
〇119例 男性89例 女性30例 平均延齢51歳 脊髄症39例 神経根症59例 根脊髄症21例
〇神経根症では後方からの顕微鏡視下ヘルニア摘出術59例。
手術後前例で上肢痛が軽減、54例92%は、完全に消失している。
5例の8%はごく軽度の上肢痛が残存。軽度のしびれが残存例が16例(27%)。
〇正中に巨大なヘルニアがあり、後方から摘出が難しい症例のみ前方除圧固定術を選択しており、前方法に適応した症状もあると考える。
また頚椎ヘルニアの再手術例に対して、前方法が12,3%で後方法は1,4%と、後方法が明らかな安定がみられている。
前方法は隣接椎間障害による、再手術率が10年の経過で10%前後であり、長期成績が不安定であると述べられている。
〇ちなみに海外では、人口の椎間板を使った手術があり、除圧をしない、前方手術が行われている。
膝や股関節の人工関節の耐用年数が20年に満たないことを考えれば、その長期成績は、不安定であるとも考えられます。
若年者の多い頚椎ヘルニアでは可能な限りでは後方法で対処するのが望ましい。
昔は痛くない人もヘルニアはありました。
だいたい3割。
ヘルニアはあるんだけど、症状が全くない人がいます。
でも、もっと詳しく調べてみたら、
7割の人が、ヘルニアがあるのに、症状がないんです。
彼らは、対照群をできるだけ正確に手術適応患者と対応させようとした。性別、年齢、職業上の危険因子に関して両群を対応させた。例えば、振動の影響を受けたり、重いものを持ち上げる動作や身体を捻ったり曲げたりする動作の頻度、座位での活動の程度などが含まれた。
無痛性対照群の76%が椎間板ヘルニアを有していた
その結果、無痛性対照群の76%にも同様に椎間板ヘルニアがあることがわかり、研究者らは莚然とした。先に述べたように、以前行われた研究では、これらの危険因子を考慮して選択しなかった無痛性の壮年者における椎間板障害の有症率ははるかに低かったからである。
痛みがなくても7割がヘルニア
有痛性椎間板障害と無痛性の異常を見分ける方法は?
驚くべき最新の研究にその手がかりが
有痛性椎間板ヘルニアを画像診断でよくみられる無痛性の異常と区別したいと考える臨床医にとって、その助けとなる驚くべき研究が最近スイスで行われた。
Norbert Boos医学博士らによると、有痛性椎間板ヘルニアと無痛性椎間板ヘルニアにはたいてい根本的な身体的違いがあるという。
しかしながら、彼らは身体的因子で全てが説明できる訳ではないので、臨床医は精神社会学的因子に対しても注意を払わなければならない、と示唆している。
今回、Volvo賞を受賞したこの研究によれば、椎間板障害がprotrusion(突出), extrusionまたはSequestrarionのいずれの形のものであろうと、その疼痛の状態には関係がないらしい。
「研究から、椎間板ヘルニアそのものよりも、神経の圧迫が腰痛や坐骨神経痛のより大きな予測因子であるという証拠が得られました」とBoos博士は述べた。
神経根の圧迫は有痛性椎間板ヘルニアの83%に認められたが、無痛性椎間板異常ではわずか22%に過ぎなかった。
身体的所見と合わせて心理学的因子を考慮すると、診断の正確性を大幅に改善できる。
明らかに解剖学的異常が認められる場合でも、「仕事に対する姿勢や精神社会学的因子が、有痛性椎間板ヘルニアと無痛性のものとを識別するために役立ちます」とBoos博士は述べている。
疼痛の認知は、心理学的側面によるか?
Volvo賞選考委員会議長のAlf L.Nachemson医学博士は、「この研究には有用な情報がたくさん含まれています」と語った。
「少なくとも私には、この研究は疼痛を惹起するには一般的に患者の神経根が圧迫されていなければならないということを示してくれました。その上で、どれほどの痛みを感じるか、手術が必要かどうかといったことは患者の心理学的側面によって決定されます」。
仕事に対する姿勢が重要
「この研究が再度強調しているのは単に放射線検査による病理所見だけに基づいて治療を行ってはならず、患者の症状や所見がわれわれが画像で確認したものとどのような形で関係しているかについても考慮する必要があるということです」とスウェーデンGothenburg大学のBjorn Rydevik医学博士は語った。
「同様に、神経の圧迫だけではなく患者の疼痛の認知と仕事との関係についても考慮しなければならない点も重要視されています」。
椎間板ヘルニアは、脊椎医学において最も多い診断名の一つである。
Boos博士は「椎間板ヘルニアのように、われわれが十分な知識を持っていると思われるような分野はそう多くないでしょう」と語った。
しかし、画像所見にみられる形態学的な特性が、腰痛や坐骨神経痛とどの程度関係するかという点はいまだ不明である。
過去10年間に脊椎に関して医学上明らかにされた最も重要な新事実といえば、おそらく、無痛性の椎間板異常が成人の脊椎によくみられるということであう。
Boden氏ら、あるいはJensen氏らの現在通説として受け入れられている研究によって、壮年者の約1/3に腰椎に無痛性椎間板ヘルニアの存在がはっきりと証明された。
画像所見で椎間板ヘルニアが認められただけでは、治療や用心が必要とはもはやいえないのである。
(BackLetter;1994:10(9):100.を参照)。
これら2つの研究の限界は、彼らが有痛性椎間板ヘルニア患者群を、無痛性の病変をもっ患者群と比較していないため、両者の違いが生じた原因を解明できなかったことだ、とBoos博士はいう。
今回の研究はそれを試みたものである。
Boos博士らは次の2つの疑問点を提示した。
1)無痛性の対照群における椎間板の形態学的異常所見の発現率はどの程度か。
2)MRI所見、仕事に対する姿勢、精神社会学的因子は、これらの対照群と有痛性椎間板ヘルニアが確認された患者群とを識別するために、どの程度有効であるか、という点である。
Boos博士らは、次の2群の壮年者について研究を行った。
第1群は有痛性椎間板ヘルニアが確認された手術適応患者46名による労働者群で、第2群は、対照群として軽度の四肢損傷を受け、その後完全に回復した労働者群であった。
彼らは、対照群をできるだけ正確に手術適応患者と対応させようとした。
性別、年齢、職業上の危険因子に関して両群を対応させた。
例えば、振動の影響を受けたり、重いものを持ち上げる動作や身体を捻ったり曲げたりする動作の頻度、座位での活動の程度などが含まれた。
無痛性対照群の76%が椎間板ヘルニアを有していた
その結果、無痛性対照群の76%にも同様に椎間板ヘルニアがあることがわかり、研究者らは莚然とした。先に述べたように、以前行われた研究では、これらの危険因子を考慮して選択しなかった無痛性の壮年者における椎間板障害の有症率ははるかに低かったからである。
両群とも包括的な臨床検査を行い、精神社会学的側面、あるいは仕事に対する姿勢の違いを評価するために、問診票を用いて調査した。
被験者のMRI検査は盲検下で2名の放射線医師によって分析された。
予期せぬ結果
2群間の差を分析したところ、ある重要な身体的因子の存在が示された。
「2群間の本質的な形態学的差異は、唯一、神経の圧迫の存在(83%対22%)だけでした」と彼らは報告している。
さらに、手術適応群の方がより重篤な椎間板ヘルニアを有していた。
この群では症例の35%で椎間板のextrusionを有していたが、無痛性群では13%であった。
2群間の椎間板変性レベルは等しかった。
2群間における仕事、精神社会学的側面にも有意差がみられた。
手術適応群の方が有意に高い仕事による精神的ストレスを報告しており、また仕事に対する満足度は有意に低かった。
手術適応群の方が、抑うつ、不安を訴える者が有意に多く、セルフコントロールのできる人は有意に少なかった。既婚者に多い傾向もみられた。
診断上の予測因子
有痛性椎間板ヘルニアにおいて最も高い予測因子は唯一神経の圧迫であった。
しかし、それだけで用いることができるほど正確ではなかった。
もしこの研究で神経の圧迫が認められた全ての被験者に対して手術を行っていたならば、対照群の22%が不必要な手術を受けていたであろう。
同様に、精神社会学的因子だけでも、有痛性椎間板ヘルニアを正確に予測することはできない。
5つの精神社会学的変数を用いても、手術適応群の57%しか正しく確認できないであろう。
神経学的因子と精神社会学的因子を組み合わせると、診断の正確性は大きく改善した。
不必要な治療を行う可能性は11%に低下した。
総括的な診断の正確性は86%に上昇した。
われわれが本研究から取り入れられる単純な教訓がいくつかある。
Boos博士は、MRI上で神経根の圧迫が確認できない小さな椎間板ヘルニアでは、患者が症状を訴える可能性は低い、と指摘している。
臨床医がこの種の病変を見つけた場合、もっと詳しく調べてから判断しなければならない。
Boos博士によれば、椎間板ヘルニアの大きさや形から、それが症状の原因であるかどうかは全くわからないという。
「似たような大きさの椎間板ヘルニアでも、脊柱管の大きさによってその影響が異なる可能性があります。
大きな椎間板ヘルニアでも、症状を引き起こさないこともあるのです。
逆に脊柱管が狭ければ、小さな椎間板突出でも顕著な神経脱落所見を引き起こすかもしれません」。
しかしながら、椎間板ヘルニアに単に神経の圧迫が存在するだけでは、それが有痛性であるとか、治療を必要とする目安にはならない。
重度の神経根圧追がみられる椎間板ヘルニアにも、全く症状の現れないものがある。
この種のヘルニアと有痛性椎間板ヘルニアとの違いが何であるのかは、いまだ解明されていない。
本研究の最も驚くべき見解は、神経の圧迫が有痛性椎間板ヘルニアの強力な予測因子であることである。
神経の圧迫がそのように重要な因子であるならば、MRI検査に関する他の数多くの研究で、なぜそのように同定されないのだろうか。
Rydevik博士は、「彼らが神経の圧迫と関係づけた症状の詳細を、おそらくもっと吟味しなければならないでしょう」と語る。
Massachusetts州 Chesmt Hm, New England Spine Care CenterのJames Rainville医学博士は、今回の研究は対象者の選択に偏りがあったのかもしれないという意見を持っている。
「神経脱落所見が手術適応群に加えるための選択基準の一つとされています。
ですから、ある症例の椎間板ヘルニアが無痛性か、有痛性かを決める違いが何かという質問に対して、神経脱落所見が答えの一つとなるのは明白でしょう」。
神経の圧迫が常に神経脱落所見を引き起こすとは限らない。
しかし、両者間の密接な関係は、神経の圧迫が重要な因子であるとある程度結論づけることができるであろう。
TheBackLetter,10(8):85,93.1995.
