全ての経験はできないよ

投稿日:2021年8月12日 更新日:2024年1月23日

感謝

 創成館高等学校理事長・校長、奥田修史氏の心に響く言葉より…

 私はよく本校の生徒たちにこう話す。

 「自分だけ悲劇のヒロイン、ヒーローを気取るな!

 生きてる奴は、大人も子供も、みんな思い十字架を背負って生きてんだ!」

 一度、親が離婚している境遇にあり、少し素行の悪い女子生徒から、

 「親が離婚した子供の気持ちがわるかるか!? 」

 と泣きながら言われたことがあった。私は、

 「わかるわけねぇだろう!俺の親は離婚してねぇよ、馬鹿野郎!」

 と答えた。その女子生徒は一瞬面食らった顔をしたが、私はこう続けた。

 「お前、予想外の言葉に驚いてんだろう。

 これが俺の本心だ!

 神様じゃあるまいし、自分の経験したことないことまでわかるか!

 でもな、これだけは絶対に理解しろ!

 お前の親が離婚してようがしてまいが、社会に飛び出したら何の関係もない。

 社会に出たら、お前個人だけを見て判断される。

 乗り越えるしかないんだよ。

 お前の幸せな人生は、乗り越えた先にあるんだよ。

 乗り越えるというのは、忘れることじゃないぞ。

 覚悟することだ。

 親が離婚するっていうのは、子供にとっては重い十字架を背負うことになる。

 その十字架を背負う覚悟を持つんだ。

 俺の親は離婚していない。

 でも俺は俺で、重い十字架を背負っている。

 生きている誰しもが、重い十字架を背負って生きてるんだ。

 顔は笑って、心で泣いて。

 みんな歯を食いしばって一生懸命生きてる。

 お前のお父さんもお母さんもきっとそうだ。

 離婚したからって、子供のことを気にしない親がいるわけないだろう。

 だけど、お前もそろそろ覚悟しろ。

 お前から憎まれようが一向に構わんが、俺がいま言ったことだけはきちんと頭に叩き込んどけ!」

 この話し方は私の話し方である。

 もちろんいろいろな考えがあっていいと思うが、私は「情熱をぶつける」こと以外に子供の心を揺さぶる方法はないと考えている。

 何とか理解してほしいという、祈りにも似た感情がそこにあることだと思う。

 『ヤンチャ校長、学校を変える』宝島社

 よく、自分の受けた悲惨な体験は、のうのうと生きている幸せな人にはわからない、と言う人がいる。

 悲劇のヒロイン・ヒーロー、つまり悲劇の主人公を演じてしまうような人だ。

 世界一かわいそうな私に、同情してほしいとか、一緒に悲しんでもらいたい、と。

 だが、世界を見渡せば、その人より悲惨な体験をしている人は、何万人、何千万人といるはずだ。

 不幸自慢をしたり、不幸を愚痴ったりすれば、幸福になれるなら何度も言えばいい。

 しかし、愚痴や泣き言や不平不満は、言えばいうほど気持ちは暗くなり、不幸は加速する。

 人生において大きな困難が起きたときは、そのことだけに目がいって、一瞬、他の広い世界が見えなくなってしまっている。

 「人生はクローズアップで見れば悲劇。ロングショットで見れば喜劇」(チャールズ・チャップリン)

 どうせ生きるなら、悲劇ではなく、喜劇の主人公として、面白おかしく人生を演じたい。

感謝

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