腰部脊柱管狭窄症│手術│4年後

☆手術した5年位 80%が満足している。 

多くの文献から腰部脊柱管狭窄症に対する手術成績をみると,4〜5年の経過では総じて70〜80%の患者で良好な成績が得られている.それ以後は次第に治療成績が低下することがあり,8〜10年以上になると良好な成績を維持しているものは平均して65%前後に落ち着くといえる.
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☆手術するしない? 脊柱管狭窄症の手術をした場合 10年後 改善率50% 満足度50% でもまた手術したい人が82% これは10年に1回手術したいと思うのかな? 

経過観察開始後8〜10年になると,手術治療群の腰痛改善率は50%,下肢痛改善率は67%,主症状改善率は54%で,患者満足度は55%であり,82%の患者は同じ治療を選択したいとの意向を示した.同研究から「8〜10年後の時点でみた場合,手術治療患者の50〜67%では高い疼痛緩和効果および患者満足度が得られているが,中間成績に比べると低い」とのエビデンスを得ることができる
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腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011

第4章 予後

腰部脊柱管狭窄症に対する手術治療の長期成績(4年以上)はどのようなものか

多くの文献から腰部脊柱管狭窄症に対する手術成績をみると,4〜5年の経過では総じて70〜80%の患者で良好な成績が得られている.それ以後は次第に治療成績が低下することがあり,8〜10年以上になると良好な成績を維持しているものは平均して65%前後に落ち着くといえる.

Amundsenら2)は,腰部脊柱管狭窄症100例を対象とした比較研究を前向き形式で実施した.患者を重度手術治療群(S群)19例,軽度保存治療群(C群)50例,無作為化保存治療群(RC群)18例,無作為化手術治療群(RS群)13例の4群に割り付け,経過観察開始後4年と10年の時点で治療成績を評価した.4年後の成績が良好以上であった患者は,S群84%,C群57%,RC群47%,RS群92%であった.その後,保存治療群での成績が経時的に向上していたのに対し,手術治療群では経時的に低下したため,最終経過観察時の治療成績が良好以上であった割合は両群ともに70〜75%となっていた.同研究からは「手術(除圧術のみ)を受けた腰部脊柱管狭窄患者のうち,術後4年目にきわめて良好または良好との評価が得られるのは約80〜90%である.この数字から,術後10年目には70%台でほぼ落ち着く」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Atlasら3)は,腰部脊柱管狭窄症148例を対象とした研究を前向き形式で実施し,手術治療(少数例に固定術追加)と保存治療との間で治療成績を比較検討した.脱落率は33%で死亡例が主であった.評価には妥当性が実証された方法が適用されており,経過観察開始後4年の成績は手術治療群のほうが良好であったが,その後経時的に低下し,最終経過観察時点では保存治療群が逆転していた.経過観察開始後8〜10年になると,手術治療群の腰痛改善率は50%,下肢痛改善率は67%,主症状改善率は54%で,患者満足度は55%であり,82%の患者は同じ治療を選択したいとの意向を示した.同研究から「8〜10年後の時点でみた場合,手術治療患者の50〜67%では高い疼痛緩和効果および患者満足度が得られているが,中間成績に比べると低い」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

多くの文献から腰部脊柱管狭窄症に対する手術成績をみると,4〜5年の経過では総じて70〜80%の患者で良好な成績が得られている.それ以後は次第に治療成績が低下することがあり,8〜10年以上になると良好な成績を維持しているものは平均して65%前後に落ち着くといえる.ただし,長期的に良好な効果が維持されるとの論文もあり,一概に結論を下すことはできない.また,採用された論文を個々に検討すると,手術方法,評価法,経過観察期間がまちまちである.手術方法は除圧術単独から脊椎不安定性を有する例に対する脊椎インストゥルメンテーション併用固定術まであり,除圧術にしても標準的椎弓切除から開窓術,あるいは片側進入による棘突起を温存した術式までさまざまであるため解釈には注意が必要である.

本クリニカルクエスチョンに関する論文はEV level IVにとどまっている.この主たる理由は長期成績を論ずるために手術の行われた時期が古く,対象の無作為化対照試験がなされていないものが多いことと,症例数が少ないことにあるが,妥当性が実証された評価法を使用している研究が少ないこともその一因である.さらに,長期経過では対象の脱落率が高いことも問題である.術後10年以上では患者死亡による脱落率が特に高く,時間の経過とともに有効データが得られる確率は低下する.また,腰部脊柱管狭窄症に対する手術を受けた高齢者は同年代の平均よりも長期に生存するとの論文14)もみられるが,健康長寿が望まれる高齢社会においてはこのような視点からのエビデンス確立も望まれる(EV level III).

手術治療の長期成績については,以下の採用論文以外にも多くの研究がみられるので参考文献として収載する4, 7, 16, 17, 18, 19).

Airaksinenら1)は,腰部脊柱管狭窄症患者497例の術後成績(除圧術のみ)を後ろ向き形式で検討したが,平均4.3年の経過観察で有効データが得られたのは438例であった.評価方法はOswestry Disability Index(ODI)を採用して,盲検性を維持しながら治療成績を評価しているが,患者の62%はきわめて良好,良好との成績を示した.同研究からは「4年間でみた場合,62%ではきわめて良好または良好な治療成績が得られる」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Amundsenら2)は,腰部脊柱管狭窄症100例を対象とした比較研究を前向き形式で実施した.患者を重度手術治療群(S群)19例,軽度保存治療群(C群)50例,無作為化保存治療群(RC群)18例,無作為化手術治療群(RS群)13例の4群に割り付け,経過観察開始後4年と10年の時点で治療成績を評価した.4年後の成績が良好以上であった患者は,S群84%,C群57%,RC群47%,RS群92%であった.その後,保存治療群での成績が経時的に向上していたのに対し,手術治療群では経時的に低下したため,最終経過観察時の治療成績が良好以上であった割合は両群ともに70〜75%となっていた.同研究からは「手術(除圧術のみ)を受けた腰部脊柱管狭窄患者のうち,術後4年目にきわめて良好または良好との評価が得られるのは約80〜90%である.この数字から,術後10年目には70%台でほぼ落ち着く」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Atlasら3)は,腰部脊柱管狭窄症148例を対象とした研究を前向き形式で実施し,手術治療(少数例に固定術追加)と保存治療との間で治療成績を比較検討した.脱落率は33%で死亡例が主であった.評価には妥当性が実証された方法が適用されており,経過観察開始後4年の成績は手術治療群のほうが良好であったが,その後経時的に低下し,最終経過観察時点では保存治療群が逆転していた.経過観察開始後8〜10年になると,手術治療群の腰痛改善率は50%,下肢痛改善率は67%,主症状改善率は54%で,患者満足度は55%であり,82%の患者は同じ治療を選択したいとの意向を示した.同研究から「8〜10年後の時点でみた場合,手術治療患者の50〜67%では高い疼痛緩和効果および患者満足度が得られているが,中間成績に比べると低い」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Cornefjordら6)は,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者(61%に固定術を追加)124例に関する症例集積研究を後ろ向き形式で実施した.経過観察期間は4〜12年(平均7.1年)であり,有効データが得られたのは96例(77%)であった.評価項目は妥当性が実証されたものではないが,評価に際しては盲検性が考慮されている.患者満足度は65%であったと結論しており,同研究からは「4〜12年間でみた場合,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者のうち65%は治療成績に満足する」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Hurriら9)は,腰部脊柱管狭窄症と診断された134例を後ろ向き形式で検討した.経過観察開始後12年で48例が死亡しており,残る86例中有効データが得られたのは75例であった.この75例中57例は手術治療(除圧術のみ),18例は保存治療をそれぞれ受けていた.患者の評価はOswestry Disability Index(ODI)などにより行われたが,手術治療群の63%では症状が改善しており,同研究からは「12年の長期でみた場合,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者のうち63%では症状改善効果が得られる」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Javidら10)は,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者(少数例に固定術追加)170例を対象とした前向き研究を行った.170例中86例は中心性狭窄患者,61例は狭窄に腰椎椎間板ヘルニアを合併した患者,23例は外側陥凹部狭窄患者であった.経過観察期間は1〜11年(平均5年)であり,24例については経過観察不能であった.良好な成績が得られたのは64〜71%(中心性71%,ヘルニア合併67%,外側陥凹64%)であり,同研究からは「腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者のうち長期の経過できわめて良好または良好な治療成績が予期されるのは64〜71%である」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Jollesら11)は,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者(少数例に固定術追加)155例を後ろ向き形式で検討した.経過観察期間は5〜8年で有効データが得られたのは77例であった.妥当性が実証された評価項目が適用されており,79%の患者できわめて良好,良好な治療成績が得られていた.同研究からは「5年間でみた場合,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者のうちきわめて良好または良好な治療成績が予期されるのは79%である」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Jonssonら12)は,腰部脊柱管狭窄症の手術治療(除圧術のみ)患者105例を対象とした前向き研究を実施した.経過観察期間は5年で有効データが得られたのは88例であった.妥当性が実証されていない評価法を用いているが,その評価は盲検下で行われ,約70%の患者で改善以上の良好な治療成績が得られた.同研究からは「5年間でみた場合,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者のうち良好な治療成績が予期されるのは約70%である」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Katzら13)は,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者(少数例に固定術追加)88例を後ろ向き形式で検討した.有効データは55例から得られ,経過観察不能率は37%でその大半は死亡患者が占めていた.85%では初期に何らかの症状改善効果が認められ,最終経過観察時点では33%の患者が高度の腰痛,また20%の患者が高度の下肢痛をそれぞれ訴えていて,患者満足度は75%であった.同研究からは「7〜10年間でみた場合,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者の75%は治療成績に満足するが,33%は高度の腰痛をきたす」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Nakaiら15)は腰部脊柱管狭窄症に対する41例の拡大開窓術を平均経過観察期間5.5年で調査した.妥当性が実証された評価法を用いてはいないが,34例の有効データから71%がきわめて良好,良好との治療成績を得ていた.同研究から「腰部脊柱管狭窄症の手術治療では71%においてきわめて良好または良好な成績が期待できる」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Tuiteら21)は,腰部脊柱管狭窄症に対する手術治療(除圧術のみ)を受けた119例を後ろ向き形式で検討した.経過観察期間は平均4.6年で,症状改善率は経過観察開始1年後の時点で79%,経過観察最終時点で66%であった.妥当性が実証された評価法は適用されていないが,同研究からは「術後1年間でみた場合,腰部脊柱管狭窄症の手術治療患者の79%では良好な治療成績が得られる.しかし,術後平均4.6年間でこの割合は66%に低下する」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

これらの論文の多くで長期手術成績は中間時に比較して低下する傾向が示されているが,成績低下をきたすことなく維持できているとの報告もある.

Hernoら8)は,腰部脊柱管狭窄症に対する手術治療(除圧術のみ)を受けた146例の症例集積研究を後ろ向き形式で実施した.平均6.8年で119例を,平均12.8 年で108例の経過観察を行い,脱落率は26%であった.評価法はOswestry Disability Index(ODI)などであり,6.8年後のODI平均ポイントは34.5で,治療成績としてきわめて良好,良好との総合評価を得た患者の割合は67%であったが,12.8年後もそれぞれ30.2,69%となっていた.同研究からは「7年後の時点でみた場合,腰部脊柱管狭窄症に対する手術治療成績としてきわめて良好または良好との評価が得られるのは67%である.この数字は13年後でも変わらない」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).ただし,対象患者の手術時平均年齢が50.7歳と他の報告(60歳代が多い)よりも若年である点を考慮する必要があるものと思われる.

須田ら20)は,変性脊椎すべり症を伴う腰部脊柱管狭窄症147例に対して内側関節切除と北大式combined systemを用いた後側方固定術を行い,115例(78.2%)の追跡調査を平均12年6ヵ月で行った.骨癒合率は96.5 % で,Stauffer and Coventry変法による評価では優・良を合わせると96.5%と良好な成績を示していた.同研究からは「変性脊椎すべり症を伴う腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎インストゥルメンテーション併用除圧固定術では,10年以上の長期にわたり良好な成績が維持できる」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).

Çavuşoğluら5)は,腰部脊柱管狭窄症の100例に対し片側進入両側除圧方式による除圧術を100例(開窓と椎弓切除が50例ずつ)に前向き形式で施行し,平均5.4年の経過観察を行った.評価にはOswestry Disability Index(ODI)およびShort-Form 36(SF36)を用い,追跡率は97%であった.術後3ヵ月からODI,SF36ともに顕著な改善を示し,その効果は最終経過観察時にも持続していたとの報告から,「腰部脊柱管狭窄症に対する除圧術単独(片側進入両側除圧)により術後5年の経過では術後早期からの良好な成績が維持できる」とのエビデンスを得ることができる(EV level IV).